バーニングマンへチャリで行った話・2000【前編】

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アメリカ・ネバダ州の砂漠で毎年開催される巨大なアート・レイブ・フェスティバル「バーニングマン」。

1998年、1999年とこのフェスティバルにサンフランシスコのアートパフォーマンス集団「Illumination Project」の一員として参加した私は、2000という区切りのよい夏を前に悩んでおりました。

「バーニングマンは確かに強烈だ。強烈に楽しい。今年も行きたい。でも、なにか変化を付けたい・・・」

1997年、初めてバーニングマンの存在を知り、ゼロから情報を集め出したときのあの情熱。大学の図書館で「Black Rock Desert」の位置を確認したときの喜び。そして、たどり着いたときのあの感動・・・。

「今年もIllumination Projectの連中と一緒に参加すれば簡単だろう。でも、それって楽な道を選んでないか・・・?」

あのころの強烈なワクワク感をもう一度・・・。えーと、あ、俺って最近よくチャリに乗ってんじゃん。これで行けないかな。行けるよな。水とか食料とか全部チャリに積み込んで砂漠の道を走りまくる。お、すげぇおもしろそうじゃん!!!!

ムチャなこと(ムチャクチャなこと)をやろうとしてるときって最高に楽しいもんです。 風呂なし四畳半でフリーター生活を満喫していたマゲオ。四畳半から、巨大なブラックロックへ向けて強烈に夢が広がってきました。その後、強烈に後悔して死の淵を渡ることも想像できたけど、それでも夢の方が大きかった時間でした。

それでは、その日々を振り返ってみましょう。

8月22日 東京・高田馬場

ううーむ。はっきり言ってまったく情報が集まっていない・・・。
明日出発なのにリノからバーニングマンの会場まで本当にチャリで行けるのだろうか・・・。そもそも道順すらわかってないぞ。チャリはすでに段ボールに詰めて成田空港へ送り出しているけど、ホントにあの装備で大丈夫なんだろうか・・。

ううーむ。まぁ、やる前からいろいろ考えてもしかたないし、やってないことを否定形で考えるのは好きじゃないし、やるしかないか!といつものポジティブかつ大雑把な考えで眠りにつきました。

そういえば昨日はバースデイでした。初めてバーニングマンに参加したのはもう2年前、いやー、まさに光陰矢のごとし、淫行いやーんのごとし、早いもんです。

ちょっといろいろあった昔を思い出しつつ熟睡。

8月23日 東京・高田馬場

さようなら高田馬場。ちょっとの間留守にします。これから砂漠をチャリでひた走ってきます。帰ってこれるんかいな俺。そんな気持ちになりつつも、いつものように大韓航空で出発です。

ちょいと久々の海外だったため、出国手続きの必要があることをすっかり忘れておりました。国内便の気持ちで出発時間ギリギリにゲートをくぐると・・・あれ? この書類に記入しなくちゃいけないの? 搭乗口は? は、そうか! 出国手続きってのがあるんだった! と大慌てで手続き。

いやー、無事に搭乗はできたけど、出発からこれじゃ先が思いやられるわい。

これからロス経由でリノです。3度目のリノ、機内食はしっかり2食、一皿目は速攻で食べておかわりを要求。フィッシュもビビンパも食べられる、7万円の旅券、3人掛けのエコノミーを存分に満喫。

8月23日 ロサンゼルス

なんだかあっさりとロスに到着しました。あまり眠れなかったせいか、やたらと外の日差しがまぶしく感じます。

荷物受け取りの際、チャリを詰めたバカでかい段ボール(約一畳)がふつうの荷物レーンから出てきてびっくりしました。一般のお客さんの「観光旅行用スーツケース」に混じって出てくる畳サイズの段ボール・・・。ホントみなさんスミマセン。

で、ちょっと段ボールは痛んでるけど中身は無事な様子。チャリを海外に持っていくのはやはり気を使いますなぁ。

んでもってこれからアメリカンエアラインズに乗り換えてリノに向かいます。

スタコラスタコラ。そそくさと移動しようとすると、手荷物検査で止められてしまいました。あり?なんも不審なモノは持ってないハズなんだけど・・・。そして、警備員は自信たっぷりにこう言い放ちました。

「おまえヌンチャク持ってるの?」
「へ?」

ヌンチャク・・・。ヌンチャクってなんだ? っておい、カバンの中身を見せろって?んんんん、お! わかった三脚だ! 三脚がヌンチャクと勘違いされてる!「this is trypod!」三脚ですよー。

8月23日 リノ

そんなこんなでやっとリノ到着です。

お! これ! この空気とこの景色! すんげー思い出たっぷり! リノ空港は去年とちっとも変わっていませんでした。再びこの地へ戻ってこれたことを全身で実感してると、これからどうなるの、どうするの、と心配になってきました。

ひとまずはタクシー拾って町の中心地まで移動しよう。で、適当な宿を見つけてチャリを組み立てなきゃ。つーわけで、ヘイタクシー。リノアーチまで頼むよ。荷物はデカいんだけどね。

英語のできない日本人と日本語のできないアメリカ人。車中はずっと無言のままリノアーチに到着。

ここから後は歩いて今日の寝床を探すことに。ううーむ、やはりチャリの入った巨大段ボール箱を抱えていると注目を集めるなぁ・・・。あんまり長い時間探すのも大変なので、今夜の宿は適当に「Gold Key Motel」に決定です。確かに鍵は金色。まぁそんなことはともかく、部屋に入ると床やベッドの上にパーツを置きまくって速攻でチャリを組み立てました。

おお! ほとんど無傷じゃん! いやー、感動。高田馬場からネバダ州リノまでマイチャリがやって来たよーん。うれしーいー。

無事完成したチャリに乗ってリノの町を走りまくります。ああ、なんてカ・イ・テ・キ。

走りまくった結果、バージニアストリート沿いでヨサゲなチャリ屋を発見できたけど、18時までで今日はもう閉まっておりました。明日ちょろっと行ってみようかな。チャリあると行動範囲が俄然広がっていいですなー。

リノにある「ビジターインフォメーションセンター」でここらへんにあるホットスプリング(温泉)のことを聞いてみたけど、おっちゃんたちもホットスプリングについて詳しくなくてあんまりよく分かりませんでした。まぁふつうはリノに来る目的ってカジノやエンターテイメントだもんねぇ・・。

で、次に本題である「ハイウェイをチャリで走るのはOK?」という質問をすると、「一応OKだがリフレクターを全身に付けて朝走れ。車が多いのでムチャクチャ危険」との事。

おおおお!! よかった!! チャリOKな道があるのかどうかもよく分からなかったけどこれで一安心。サンキュー、おっちゃん!!!

そして夜は贅沢にステーキ&ロブスター(うまい)。ロブスターを食べた後、25cのスロットをやるがまったくダメ。3ドルくらい使ってしまいました。あ、あんまり使ってないか。

で、カジノの上にはゲームセンターもあって、ポケモンのUFOキャッチャーにうっかりハマってしまいました。1プレイ50cと安いので、ついついプレイして見事フシギダネをゲット! 見知らぬ子供にねだられてしまったけど、男の厳しさでこれは俺のフシギダネ! 大人であってもフシギダネは欲しいのだ!!

んで、モーテルに帰って寝る。ぐぅ。

8月24日 リノ市内

バーニングマン開始の日程を考え、今日の夜中に出発することを決意しました。

Gold Key Motelに日本からチャリ詰めて持ってきた巨大な段ボールを置き去りにしてチェックアウト。掃除の人、スミマセン。

で、まずは買い物やら準備をいろいろしようと考え、今夜のモーテルを早めに決定。リノはホテルも30$程度でモーテルとたいして値段変わらないんだけど、チャリを持ったままホテルに入るのはちょっと面倒なため、モーテルにしか泊まることができませんでした。

んで、また適当に選んだモーテルへチェックインして部屋で休んでいると、突然おっちゃんが「掃除がまだだったんでちょっとゴメンよ」と言って入ってきてブイブイ掃除機をかけ始めました。むー。仕方ないのでその間に近くのカジノホテル「シルバーレガシー」でやっているランチビュッフェへ(今思えばスキありすぎ)。

ランチビュッフェはあまりうまいものもなく、小汚い格好で一人いるのもまわりの豪華なカジノ客に比べると変な感じだったので、そそくさと出てきました。

その後ついまたポケモンUFOキャッチャーへ。すると恐ろしいくらいに次々ゲットでき、カビゴン、ニョロゾ、ピカチュウを手に入れてしまいました!!!! 残るはゼニガメとリザードンだけだったけど一応やめておこう・・。あんまりぬいぐるみだらけになっても荷物大変だし。つーかまだ食料買ってないし!!

*私はポケモンやぬいぐるみに弱いのです。今思えば、旅の荷物は何一つ買ってないのにポケモンぬいぐるみばかり手に入れてました。

んで、昨日行けなかったチャリ屋へ行くことに。するとチャリ屋の前に車を止め、「車載用チャリホルダー」を取り付けようとしている東洋人4人組がおりました。

その横を通ってチャリ屋に入ろうとすると、彼らの会話の中に「バーニングマン」という言葉が。しかも日本語ぽい。おりょ?と思って話しかけてみると、彼らは東京からバーニングマンに参加するためやってきたとのこと!!

いやー、こんなところで会うもんですね。英語も流暢だしアメリカ慣れしてる感じで羨ましいなー。俺なんて這々の体だもんね、いつも。

んで、しばらく彼らといろいろ会話をし、砂漠での再会を約束して別れました。

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その後、思い出のバカボンド・イン(私がバーニングマンに初めて参加したときに泊まったモーテル。2年も前の話だ)を再び訪れ、あああー、と感慨に耽りまくりました。

いろいろありましたよ、いやまったく。

あれから2年でずいぶん鍛えられて、成長したもんですよ、いやまったく。

その後また別のチャリ屋に入ってヘルメットを物色していると、なんと先ほどの4人組とまた遭遇。バーニングマンに行く前にレイクタホでキャンプするらしく、いろいろと調達しているとのことでした。なんかいいなぁ、楽しんでるなぁ、羨ましいなぁ。

で、とりあえずヘルメットとドリンクホルダーを買い、店員に「ピラミッドレイクに行きたいんだけどチャリでハイウェイは走ってOK?」と聞いてみました。

本当の目的地はピラミッドレイクの先にあるブラックロックデザートだけど、いきなりブラックロックと言うとあまりに突拍子すぎるので一応観光客っぽく、善良なチャリダーっぽく質問です。

すると「フリーウェイはダメだがハイウェイはOK」とのこと。英語下手なので念のため何度か確認してみたけど間違いない様子。
クククク、大丈夫そうですよ! 行けるみたいですブラックロック!

*というか、このチャリ屋で質問をするまではチャリで走れる道があるのかどうかもわかってませんでした。アメリカではいろいろな道路が交差していてスピード出しまくりで歩道がない道路を「フリーウェイ」、とりあえず直線で信号もなくって遠くまで行ける道路を「ハイウェイ」と呼んでいるようで、フリーウェイはチャリと歩きは禁止のようでした。そんなよくわからない状態なのに日本からチャリ持って行くのもどうかと思いますが、いかんせん情報が全く集められなかったので得意の飛び込み作戦で行きました。

んで、チャリ屋からの帰りにリノ唯一のヘッドショップ「Melting Pot」へ寄り道。ここはバーニングマンにもよく参加している連中の店で、昔の懐かしい写真を見せてもらいつつしばし会話。リノみたな小さな町に、こういったヘッドショップがあるのはバーニングマンのおかげでしょうか。

「チャリで行こうと思ってるんだ」という話をしたら「おう、がんばれよ!!向こうで絶対再会しような!!」とか言ってくれて感激ひとしお。

だんだんとイベントの実感が沸いてきてどんどんテンションが高まってきました。やっぱバーニングマンは楽しい!

8月24日 リノのモーテル

モーテルへ戻り風呂場で洗濯。風呂の栓がなかったので、備え付けの使い捨てコップとビニールで栓を作ってムリヤリお湯を貯め、出発前の清めの風呂に入りました。

その後はまたシルバーレガシーにて夕食。アジア料理のコーナーに行くと無国籍な大将が握る寿司は4ドル以上するので(1カン?)、ベトナム料理と台湾料理のデリにしました。

ベトナム麺が腰砕けなほどウマイ。香草がいいわー。ついでに台湾料理のメニューに「Pork & Tofu」とあったので炒め物かと思って注文したら、豚肉と豆腐の巨大あんかけ丼が出てきてしまいました。

むー、そんな食えないっす。コメもうまかったけど残してしまいました。ごめんね。

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モーテルに戻ってカートゥン・ネットワークで「Power Puff Girls」を見ながら旅支度。3ドルで買った地図を基にルートの確認をしました。

・・・まず、ここ(リノ中心地)から東へ向かい、ハイウェイ445に乗る。チャリ屋で聞いたとおり、ハイウェイならチャリで走ってOKなんだろう。そして445をピラミッドレイクまで進むとハイウェイ446へ続く道が右手に見えてくる。446をピラミッドレイク沿いに走るとニクソンという町があり、その先にハイウェイ447へ続く道が出てくる。ハイウェイ447はかなり長いな。この447がブラックロックデザート、バーニングマンに続く道だ。途中にはエンパイア、ガーラックという町がある。445、446、447・・・。ほとんど一本道だから道には迷わないだろうけど、砂漠の道だ。気をつけて走らないと・・・

ルートの確認も終り、荷物のパッキングも完了。明日の朝早くに出発予定なので今夜は10時に就寝です。ぐぅ。

・・・が、どーうも眠れない。

10時に寝て12時には目を覚ましてしまいました。ちょっと食べたら眠れるかなーと、マフィンケーキとホットコーヒーを買ってきたけど、どうにもこうにも目が覚めてます。ベッドでにゃごにゃごしてみたけどちっとも眠れそうにありません。

うーむ、弱った。
弱った。
ので、出発を決意!!
迷ったときには進むべし!!

最終身支度を整え、夜中の3時にチェックアウト! いざ、出発なり!!

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