バーニングマンへチャリで行った話・2002【中編】

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8月25日 Hwy 447→エンパイア→ガーラック→ブラックロックデザート

2:25 ハイウェイ447沿いでビバーク

疲れた・・・。どこまで走ってもエンパイアすら見えてこない・・・。もう体が限界を感じていたため、ここらでビバーク(緊急の野営)をすることに決定。道路脇でテントを張れそうなところを探します。

砂漠の荒野ならテントを張る場所なんてどこでもOKなような気がしますが、実際そうもイカンのです。

ハイウェイを猛スピードで走っている車たちは、たまーに道路脇に急停車して立ちションをしたりします。なので、車が簡単に乗り入れられそうな道路のすぐ脇は非常に危険。まさかテントで寝ているヤツがいるなんて想像もしないだろうし。大変だけど、ある程度小高い丘の上とかにテントを張る必要があるのです。むむー。

さらにここらへんは牛が放牧されているエリアなので、日中はノラ牛と遭遇する可能性があります。こんな夜中なら牛たちも寝てるだろうけど、牧場のおっさんとか見回っていない・・・よね。大丈夫だよね。

そんなこんなでやっとこさ場所を決定。ここなら車も来ないハズ。もうフラフラ。速攻でテントを張って横になりました。

ぐわー、やっぱ横になるとちがうよなー。すげぇ体力が回復していく。改めて自分がかなり疲れているのが分かりました。
ベーグルとツナ缶とビーフジャーキーをむさぼり食い、とにかく一休み。

このまま太陽が昇る時間まで眠ってしまったら危険なので、日の出より少し早い朝6時に起きることにして腕時計のアラームをセット。

アラームをセットするのは実は初めてだったんでやたらと手間取ったけど、たぶんこれで大丈夫かなー。もう疲労で頭も回転しません・・・。ちょっと寒いけど就寝です。ぐぅ。

4:30 ビバークを終え出発!
うーん・・・。なんとなく目が覚めてしまいました。テント越しに満月の明かりが見えます。

明日には最後の町ガーラックへ到着できるだろう。そうしたらブルーノのモーテルでゆっくり休むことにしよう。VAIOも充電できるし、音楽を聞きながらベッドで眠ろう。ネットに接続できるかな。メール送ったりできるかな。日本は今ごろどうしてるだろう。目白の家が早くも懐かしいな・・・。

そんな幸せなことを考えていたら、遠くから犬の長い遠吠えが聞こえまくってきました。

え!!!! ひょっとして野犬!? ヤバイ??

2年前にレイクタホでクマに襲われて以来、野生動物に敏感になっている私にとって、この遠吠えはかなりの恐怖を感じました。

いや、こんな砂漠に野犬はいないだろう・・・。それじゃ牧場を守る犬たちなのかな? あれ? ていうか俺って今その牧場で勝手にキャンプしてんじゃん。ヤバイかも・・・。安全か危険かで考えたら圧倒的に危険だと判断し、急いでテントを片づけることに。きゃー、襲ってこないでよー。そそくさと立ち去ります。

しかしその後の走りは快適そのもの!やっぱり少しでも眠ると体力が回復するもんですな。ビバーク大正解!!

6:00 エンパイア到着
快適に走っていると、遠くに灯りが見えてきました。これまでも「町の灯りかな?」と期待させておいて実は車のライトだったりということが何度もあったけど、今度は間違いなさそうです。

そう、あれこそまさにエンパイア!

empirestore2

いやー遠かったー。でもエンパイアの町になんとか到着できました。ここには最後のスーパーマーケットがあります。でも当然こんな朝早い時間では閉まっていて、開店待ちと思われるバーニングマン客たちがそれぞれ車の中で眠っていました。

チャリの私は風が寒くてたまらんので、なんとか暖かい場所はないもんかと探した結果、店の脇にあるトイレの前が一番風を防げたためにここで仮眠をとることに決定。

少しの間トイレ前でVAIOを開いてカタカタやっていると
「地面に座っていたら寒いでしょ。イスがあるから座りに来る?」
と、やってきたオバ様に声をかけられました。

empirestore

当然断る理由もなくイスに座らせてもらうことに。このオバ様は移動生活しつつ物売りをしているとのことで、イスの後ろには巨大なテントが。

んで、イスでうっかりウトウトしていると、
「テントに入って寝れば?」
と再び声をかけられてしまいました。
「でも体がすげぇ汚いんでそりゃちょっと・・・」
と軽く遠慮してみたけど、結局眠らせてもらうことに(なんか毎回このパターンだな)。

大きなテントにエアーマット。いやー快適。さっきの遠慮はどこへやら。あっさり眠りました。人のいない砂漠を走り続けてきた緊張が一気に解けていきました。本当にありがとう。助かったー。

8:30 エンパイア出発
さて、8時からスーパーマーケットも開き、人もたくさん集まってきました。私はここでカップ麺2つとマヨネーズとソーセージを購入。ゴールも間近なんでちょっと贅沢してみました。高カロリー万歳です。うっほっほ。

で、実は今回「電気を通すと発熱してお湯を沸かすことのできる電気棒(発熱電気バー)」を持ってきているので、せっかくだからブルーノのモーテルでこれを使って久しぶりの暖かい食事(カップ麺)を食べようと考えているのです。きゃー! 楽しみ!

寝床を貸してくれたオバ様にお礼とお別れを告げ、最後の町であるガーラックへ向けて出発! もうブラックロックは目の前じゃー!!

9:15 ガーラック到着
あっさりとガーラックに到着。ここからブラックロックまではわずか10マイル。本当に目と鼻の先です。
ここにはブルーノというおっさんが経営しているカフェとモーテルがあるので、ひとまずカフェでパンケーキの朝食をいただく。うまいうまい。

kanban

そしてカフェの支払いのときに
「モーテルに泊まりたいんだけど?」
と伝えると、
「それじゃ横のバーで話してもらえる?」
とのこと。

はい、それじゃとバーに行って伝えたところ、
「ひとり? それじゃここにサインして・・・IDは・・・」
といういつものやり取りが始まると思っていたら、予想とは遙かに異なる答えが返ってきました。
え?と思ってつい聞き返してしまうと、バーの男は面倒くさそうに、

「No Room。バーニングマンの客でいっぱいなんだよ」

bruno_cafe

なーーーにーーー!!!
部屋がないーーーーー!!!!!!!!

・・・私はどれだけブルーノのモーテルに泊まるのを楽しみにしていたことか・・・。これじゃ風呂にも入れないし、充電もできないし、カップ麺も食えない・・・。イベントは明日からだから、しっかり休んで明日ゴールの予定だったのに・・・。

どうしましょ。今は近くのコインランドリーで勝手にコンセントを使わせてもらいつつ、今夜の予定を考えています。ブラックロックに入るのは早いんだよなー。一泊ゆっくりしたいんだよなー。マジで。どうせこれから一週間以上のキャンプだから、今日だけは本当にモーテルに泊まりたかった・・。

疲労困憊なのに・・・。休みたい・・・。カップ麺食べたい・・・。音楽聞いたり、ベッドで飛び跳ねたりしたい・・・。どしよ。

11:30 ガーラックでダラダラ
まだガーラックです。

ひょっとしたら昼過ぎになればモーテルをチェックアウトする客が出てきて、空き部屋ができるかもしれない。
そう考えながらコインランドリーで洗濯もしないで充電したり水道で髪を洗ったりしていると(ひどい客だ)、「Lamp Lighters」の衣装を抱えたオバハマがやってきました。

んで、「それLamp Lightersでしょ?」と話しかけて、これまで3回バーニングマンに来たことがあることや、リノからチャリでここまで走って来たこと、モーテルが満室で弱っていることなど、ちょっとくやしいけど「なんかいい手はないもんかねぇ」という感じで会話をしました。

しかし、「大変ねぇ」という返答だけで終わってしまいました。
しかも「ガーラックはキャンプ禁止だし、モーテルは他にないしねぇ」という痛い一言も頂きました。

その後、もう1人Lamp Lighterの人がやってきて、なんか2人でごにょごにょ話してるなーと思ったら(私はほとんど英語ができません)、「あなた会場に着いたらLamp Lightersキャンプに来なさいよ。ここならシャワーもキッチンもあるわよ」と話してきたのです。

・・・ううーむ。Lamp Lightersキャンプに行く=俺もLamp Lighterになる、ということか・・。

*Lamp Lighter:バーニングマンの会場全体にオイルランプを灯して回るボランティアのパフォーマー。これをやるとなると、たぶん毎日17時から19時の間はLamp Lightersの仕事をしなきゃなハズ・・・。

と、とりあえず考えてみます。ありがとう、ごめん!

15:40 ガーラックでBMオフィスへ
おいお前まだガーラックかよ! と言われそうですね。はい、まだガーラックです。

お昼過ぎに再びバーに行って「部屋空いてない?」と聞いたところ、
「9月4日まで予約で一杯なんだよ!!」
と怒られてしまいました。
しつこい外人だなーと思われたのかもしれません。ちぇ。

この状態を「マゲオメールニュース」で流そうと思ったのですが、ガーラックには公衆電話が1台しかなく(他にもあったけどすべて故障していて使用不可)、行列になっていました。

そんな中、周囲の注目を浴びつつ音響カプラーでネット接続に挑戦。

んが、つながらない・・・。いろいろとセッティングを変えても、どうにもこうにも認証にすら入らない。本来ならもっともっと試してみたかったけれど、行列になっているし、仕方なく退散。

弱った。けど、実はちょっと考えてんですよねー。

ガーラックには「Black Rock Ranger(バーニングマンのボランティア・スタッフ)」のオフィスがあるので、俺のネット接続ってフリーダイヤル利用で発信元に電話代かからないし(そのかわり1分50円と高い!)、ちょっとレンジャーに頼んで電話回線を使わせてもらおう! ナイスアイデア!

rangeroffice

「すんませーん。電話使わせてもらえません? いやいや、フリーコールだから心配無用っすよ」

得意の100万ドルの笑顔で話しかけてみる。
するとお手伝いっぽい女の子(小学生くらい?)はちょっと困った顔で
「I don’t know」
と言って奥に入ってしまいました。
これが、「私では決められない」という意味か、「おめぇの英語わかんねぇよ」という意味かは判断できませんでした。

奥の方で
「なんか中国人が電話使いたいってー」
「え? それじゃ私がちょっと行ってみる」
というやり取りが聞こえました。うーむ、アジア人は基本的に中国人なのかしら、アメリカ。

で、次は大人のスタッフがやって来てくれました。
「どうも日本人です。実はインターネットにつなげたいので電話を・・・」
と、またまた100万ドルの笑顔で伝えてみました。

するとなーんと、
「目的が電話でなくてネットならイーサネットでつなげられるわよ」
と、願ってもない答えが!!

「イーサネットカード持ってる?」
「あ、持ってます」
「IPアドレスは指定しなくちゃだから」
「あ、DHCPじゃダメ?」
「ダメ。ルータアドレスがこれで、IPがこれで、DNSがこれで・・」
「了解。お、つながった。サンクス!」

というわけで、テキパキと設定を変更して無事に接続完了!

通信速度はやたらと遅かったけど、やっとこさ「マゲオメールニュース」も送信完了。いやー、ホントに助かりました。ありがとうございます。

17:00 ブラックロックシティ到着
はい、もうツベコベ言っていてもモーテルには泊まれないので、会場入りすることに決めました。でもなんかしっくりこないなー。休みたかったなー。

ガーラックからブラックロックまでは約10マイルで、実はこのラスト10マイルがなかなかキツいのです。

ブリブリ走っていると道端に座っていたおっちゃんがダッシュで近づいてきて、無言のまま笑顔でゲータレードを渡してくれました。ありがとう! なんかね、こういうのがすごくうれしいし、かっこいいなーと思うんですよ。なにも言わず、なにも聞かずにっていうのがね。そしてゲータレードがうまい。

さらに途中、太さが俺のムスコほどもあるシマシマ模様のヘビがいてビビったり(大きさは想像で)、巨大な山猫(チーターみたいにも見えた)やすごい角を持った鹿の剥製を展示しているハンター連中がいたり(つまりここらの山にはそういった動物もいるってことか)、お腹を食いちぎられている動物の亡骸があったり(・・・)、なんやかんやと大変な道のりでした。

そして遠い遠いラスト10マイルを走り抜けて、ついに見えました。

「BurningMan ENTRANCE→」

エントランスからキャンプエリアまでも実はすげぇ遠いけど、彼方にバーニングマン像が見えるような気がします。
ついにやってきた。やっと到着した。

日本から肌身離さず持ってきたチケットを手渡し、エントランスをくぐる。
拍手をしてくれるおっちゃんがいる。
けったいなヤツが来たもんだなーと眺める兄ちゃんもいる。
風が強くてもらったばかりの「BurningMan2002 PLAYA MAP」を吹き飛ばされそうになる。

そして目の前には、またいつもと変わらないプラヤが360度のパノラマで広がっていた。
ブラックロックにたどり着くという目的を達成した先には、どこへ行っても、何をしてもよい新しい世界が広がっていた。

「めざせブラックロック2002」、ここで完了。

バーニングマン2002の生活がスタートしました。

19:00 ブラックロックシティ
で、会場入りしてどうしたかって?
Lamp Lightersには入ったのかって?

それが、到着した途端にあまりの疲労から、もう何にもできなくなってしまい、ものすごく適当なところでテントのシート(組み立てる気力がなかった)を広げて眠ってしまいました。
んで、ちょっとだけ目が覚めてボケーっとバカ面でプラヤを眺めていると、
「あんた自転車だけでリノから来た人だろ。ここじゃなくって、もっといいキャンプサイトがあるぜ」
と、イカツイおっちゃんが話しかけてきました。

おっちゃん曰く、車やバイクなど、エンジンのついたものは一切入ってはいけないエリアがあり、そこは広くて静かでメディテーションには最適だよ、とのこと。
ほほう。せっかくチャリで来てるんだし、ちょっと行ってみることにしよう。

そしてその「Walk in Camp」エリアに到着。

なるほどなるほど。車が入ってこないから砂埃が巻き起こることもなく、実に快適です。過去3回のバーニングマン生活を思い出してみても、こんなにキレイな体でいたことはありません。これまではいくら体を拭いても(洗えないからウェッティで拭き拭き)すぐに砂埃にやられていたのに、なんてすばらしいことでしょう!
センターキャンプから遠いのと、まわりに目印がないのがちょっと難点かなー。でも快適。

そんなわけでみなさーん、私は「Walk in Camp」エリアの、一番人里離れた場所にあるトイレの近くの黄色いテントで生活してますよー。

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