遅ればせながら、近年のサブカル本では異例とも言える大ヒットを続ける名著「雑草で酔う」の書評です。
かなり読みやすい本です。文章量も「マリファナ・X」みたいに分厚くないので(「危ない薬」よりも薄い)、スタッシュバッグに入れてトイレでも手軽に読めます。
帯には「pha、にゃるら推薦」の文字が!
えーと・・・
だ、誰・・・?
田代まさし推薦!とか、ASKA熱唱!とか、スライム乳が揺れた!なら分かるのですが・・・
私のような輩には、手の届かない存在の方々なのかなと・・・
たぶん、pha氏はアルファベット3文字だから、「THC」とか「LSD」みたいな、好きなネタの成分を名前にされているのかなと。「クベンシス子」みたいに。時代が進むと、「5-MeO-pha」とかに改名されるかもしれません。
にゃるら氏は、たぶんダウナー系がお好きなのかなと。ダウナーでヨレヨレになったときに「もうダメにゃるら〜〜〜」というような言葉を口走り、それが名前になったのだと妄想します。アッパー系だったら「シェシェシェのシェー!」という名前だったのかもしれません。
ともかく、業界の重鎮であろうことは間違いないので、私もヘタこいて沈められないように気をつけます。ピース!
で。
すごくざっくり言うと、「サイケデリック中二病をこじらせ続けた男の体験記+なんかタメになる話」です(注:褒め言葉です)。
そう。私たちは誰しも、サイケデリック中二病時代がありました。
ナツメグを一気食いしてみたり・・・
ベニテングタケを食べてみたり・・・
大麻の種を煮出してみたり・・・
「弱いマリファナに似ている」とか、「LSDに化学式が近い」みたいな言葉に踊らされて、ありとあらゆることに手を出したものです。
で、ほとんどの方はオトナになるにつれてふつーに大麻やLSDが手軽に入手できるようになったり、仕事や家庭を持つようになったり、おかしくなったり死んだりするものですが、この本の著者・青井硝子さんは雑草で酔う方法について追及し、発信と情報交換・交流を続けて勾留されたりしています。
「雑草で酔う」には、青井さんが試してきたさまざまな雑草が載っています。
ただ、いずれも青井さん主体の体験記なので(第三者はわずかにしか登場しません)、同じものを試しても同じ体験が得られるかは不明です。
たとえば、青井さんはヤクモソウの喫煙で効果を得られたと書かれていますが、私は喫煙摂取ではさっぱり!でした。
※青井さんはヤクモソウの「花」、私は「茎や葉や花のミックス」を使っているので、バッズとリーフの違いみたいなのはあるかも
さらに、ノリが同人誌のままというか、かなり独自の世界の表現が多様されており、ドラッグに対しても、ある程度の前知識がないとサッパリだと思います。
我々がこういう本に求めるのは、「まだ見ぬすごいトビ」だと思うのですが、残念ながらそういうすンごいことは載っていません。青井さん最大の発明である、アヤワスカ・アナログについても本書では触れる程度です。
なんだろな。でも売れてるんだもんな。
何か既視感があるなーと思ったら・・・
アレですね。好き者が集まって巻いたり回したりしながらグダグダ過ごしているとき、途切れることなく喋ってるの、たまにいるじゃないですか。
で、だいたいこっちは「よく動く口だなー」くらいにしか見えてないのだけれど、そのときの会話をすべて口述筆記したような本です。
一部ちょいと気になったのが、ちょいちょい「過去の先人たちはグラウンディングまで考えずにドラッグを摂取していたので、浮いたままの人もいた」というような記述が出てくること。
・・・たしかに、我々の世代では「ヘンな飛び方しても寝れば治るよ」くらいで、ネタの「抜き方」までは考えていませんでした。
別にそれは我々の世代がアホだったわけじゃなくて、ある意味おおらかな時代だったからです。
瞳孔開いたままでクラブのフロアで倒れていても大丈夫だったし、歩きながらいきなり失禁する女性なんかも朝方には見かけたし、警察の持ち検やバンカケも、いまほどではなかったと思います(持ち検が増えたのは「秋葉原通り魔事件」の後な気がする)。
一部、オウム真理教などはネタを使っていることがバレるとマズかったので、LSDの儀式の後は熱い風呂に入れさせられて、サットバレモンを飲んで落としていたけれど、我々は別にバレてもどーってことなかったのです。
たまーにネタマニアみたいな人から「まずプリローディングでこれを飲んで、その後に摂取して、最後はこれを使うとスッキリするよ」みたいなことを聞かされても、「面倒くせ!足らなかったら追加でブっこむし、スッキリ終わりたくなんかないやい!」という気になってました。まぁ、それでおかしくなったり死んだりしてたんだけど。
まぁ、落とすことを考えながらネタを使うのと、落ちずにダメなるのと、どっちがいいかっつーと・・・えーと・・・。
というわけで、読みやすい本だし、好き者が集まって巻いたり回したりしながらグダグダ過ごしているような宴席に一冊あると、話題作りに楽しいかもしれません。そんな「おうち時間」のお供にどうぞ!
※「巻いたり回したり」とは、手巻き寿司や人生ゲームのルーレットのことです