医療目的で大麻を所持していた山本さんの裁判から思うこと

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このニュースはかなり早い時期から知っていましたが、自分の中でたくさんの戸惑いがあったのでなかなか書けないままでした。

まず、そのニュースというのはこちらです。

【外部サイト】末期肝臓ガン患者 山本氏 少量の大麻所持で逮捕 | iryotaima.net

末期ガンを患っていた山本さん。さまざまな治療を行っても症状は悪化するばかりでしたが、医療目的で大麻を吸引するようになってからは症状が改善していきました。しかし、路上で大麻を持っていたところを見つかり、逮捕・起訴されてしまいました。

非常に悲しいことだと素直に思いました。職務質問に遭ったのは不運だったとしか言いようがありません。

その後、山本さんは「自分が持っていた大麻は医療目的であり、それを罪とするのは患者の権利に反する」と主張し、「山本医療大麻裁判」として裁判の行方が注目されるようになりました。

【外部サイト】山本裁判 | iryotaima.net

私は戸惑いました。

「そうは言っても、持ち歩いていたらダメなのはダメだよ」

という気持ちと、

「そうは言っても、持ち歩かざるを得なかったのも分かる」

というものです。

そして、3月10日に山本さんの初公判が開かれました。そこで述べられた「公訴事実に対する弁護人の意見」を読んで「これは無罪だ」と思いました。

長いですが、上記のサイトより引用します。

2) 公訴事実に対する弁護人の意見            主任弁護人 山崎 浩一
弁護人  安藤 豪

本件被告事件に対する弁護人の意見を以下のとおり陳述する。

被告人が大麻を所持していた事実は認める。しかしながら、以下の理由により被告人は無罪である。

第1に 被告人は自身の末期癌の治療に使用する目的、すなわち医療目的で所持していたものである。大麻は疾病に対して有効であり、モルヒネ等と比較してもその有害性は著しく小さい。それにもかかわらず大麻取締法は医療目的での所持および使用をも禁止する点において、憲法13条、25条、31条に違反するものであり、無効である。よって無罪である。

第2に、大麻取締法24条の2第1項は、「大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。」と規定しているが、被告人が医療目的で大麻を所持する行為は、「みだりに」という構成要件に該当せず、無罪である。

第3に、被告人は、末期癌を治療し、かつ苦痛を緩和する目的で大麻を使用するために所持をしていたのであり、被告人の生命、身体に対する現在の危難を避けるために,やむを得ずにした行為であり、これによって生じた害は避けようとした害の程度を越えなかったのであり、緊急避難として無罪である。

第4に、このように正当な目的のために相当な手段で行った行為は、実質的違法性を有しないことから無罪である。

以上

引用元:山本医療大麻裁判 始まる | iryotaima.net

山本さんは「正当な目的のために相当な手段で行った行為」であるから、違法性を有していないのです。暴漢に襲われたときに殴り返す「正当防衛」みたいなものですよね。上記の文章を読めば読むほど、ここで山本さんから大麻を取り上げてしまうのが本当に正しいこととは思えないのです。

もちろん、山本さんのように「大麻がガンに効くかもしれない」という情報を手に入れて、さらに大麻を入手したり栽培したりできる患者はごくごくわずかだと思います。ほとんどの患者はそんな情報を知らないまま、既存の治療を行っていることでしょう。

※私は「大麻がガンに効く」かどうかは分かりません。ただし、世界中で使われているのであれば治療の選択肢のひとつとして存在しているべきだと思います。

そして、この裁判がどのような判決になろうとも、いきなり「医療目的で大麻を所持・栽培することは合法!」と法律が書き換えられることはないと思います。

だけど、私は山本さんに、ほかの多くの難病患者に、生きるための権利を・生きるための手段を認めて欲しいと望んでいます。仮に私の身近な人がガンで苦しんでいたなら、私も大麻を探し回ると思います(現在は所持・栽培していません)。カリフォルニア州のように医療大麻が認められている場所への移住を考えることでしょう。

まずはこんなことが行われているという事実を知っていただければと思い、ブログを書きました。

後日追記

2016年7月25日、山本さんは肝臓がんのために死去されました。被告人死亡によって公訴棄却となり、議論も終了です。この命は、本当に失われる命だったのでしょうか?救うことのできる命だったのではないでしょうか?

哀悼の意を表します。