フローティングタンク(アイソレーションタンク)についての連続投稿、本日はタンクの体験談をご紹介します。
イントロ編はこちら。
対談はこちら。
目次
はじめに:セットとセッティングについて
これからご紹介する体験談は、あくまで私個人の体験談です。お酒の酔い方がひとりずつ違うように、タンクの体験もひとりずつ異なっているものです。
そして、タンクのように精神を集中させたりリラックスできるようなツールを使うときには、「セットとセッティング」がとても大切です。
セットとは自分の気持ちの状態、セッティングとは場所の状態のこと。いくらタンクがメリット的なツールであっても、使う前から「こんなの意味ないよ」と思っていたり、すごくイライラしていたり、うんこが漏れそうだったりするような、セット(自分の気持ちの状態)が整っていないときにはメリットは半減してしまいます。
また、自分の気持ちの状態がどれだけ整っていても、フローティングタンクのサロンに到着したら何か雰囲気がおかしかったり、設備に不備があったときには、セッティング(場所の状態)が整わなくてメリットが半減してしまいます(どこのサロンも、そうならないように気を遣っていると思います)。
ぜひ、セットとセッティングを整えてからタンクを使ってみてください。マッサージ屋さんへ行くときと同じ感じですね。
かといって、ヘンに神秘的なものと考えすぎるのも大変だから、フローティングタンクは1950年代から開発が続けられ、これまでたくさんの人が体験してきた不思議な装置であり、重力や視界や音といった外部の環境から切り離された貴重な体験ができる・・・くらいでよいと思います。
フローティングタンク体験談
私はこれまでに、岡山「HIKARI CLINIC」と東京「フロートセンター」で何度かタンクに入っています。どちらもプレイ(?)の流れとしては同じですので、両方の体験談をMIXして文章を構成してみます。
シャワーを浴びるのは禊ぎのよう
タンクに入る前は裸になってシャワーを浴びます。シャワーを浴びるというのは、セットとセッティングを整えるための「禊ぎ」のように感じられます。このまま全裸でタンクへ入るわけですが、全裸になるというのは自分のもっとも身近にありながら、なかなか達成するのが難しい変性意識への扉です。
人間の自由と可能性を追い求めた「コミューン」では、集団で全裸で過ごすことがありました。
アメリカで行われているアートと音楽のフェス「バーニングマン」でも、かつては全裸がたくさんいました。いまほどメディアや日本人が参加していなかったので、私も遠慮することなく全裸で過ごしていました。全裸になることで、さまざまなところからひとつ突き抜けて自由になれるように感じていました。
SNSなどでリア充なニセの自分を演じなくてはならなくなった2010年代は、その反動としてかつてないほど「自分らしくありたい」、「自分自身をしっかり大切にしたい」という願望が生まれた年代でもあります。全裸になるというのは「自分らしさ」をもっとも手軽に再確認できる方法だと思います。
ハッチを開けてタンクイン
シャワーを浴び終わったら、タンクのハッチを開けて中へ入ります。
お湯の温度は体温と同じに保たれているので、熱くもなく・冷たくもなく。そのままゴロリと仰向けで寝てみます。
エプソムソルトの強い浮力によって身体が自然に浮かびます。背泳ぎができない人でも絶対に大丈夫。また、私は乗り物酔いしやすい方なのでタンクに入るときに「船酔いみたいになったらイヤだなー」と思っていましたが、いまのところそういった状態になったことはありません。
最初のうちはお湯の上で身体が流されるように動いてしまい、タンクのカドに足が当たったりすることもあるけれど、静かにしているとだんだん安定してきます。
それでは、タンクのハッチを締めて真っ暗やみにしてみます。
ハッチを閉めるためにお湯の中で立ち上がろうとすると・・・身体が重い!!!!!! ほんのわずかな時間であっても、重力から解放されていたために自分の身体にかかる重力がすごく重く感じてしまいます。ああもう早く寝転びたい・・・というわけで、ハッチを締めたら再びゴロリ体勢へ。
真っ暗で無音の空間。プカプカと浮かんでいる自分。
身体の半分がお湯に浸かっている状態は、スターウォーズのハン・ソロ船長がカーボン冷凍された姿に似ているなーと思って、ひとりで「カーボン冷凍されたときの顔マネ」をやってみました。頭の中にどんどんくだらないことが浮かんできます。
外部からの音は一切聞こえず、聞こえるのは自分の呼吸音のみ。ときおり、空腹でもないのにお腹がキューキュー鳴ったり、体の関節がパチン!と音をたてたように感じました。外部からの刺激がないだけ、内部の音に敏感になっているようです。
溶けていく身体、拡がる思考
さっきまで感じていた「お湯と身体の境界線」がズバっとなくなる瞬間が出てきました。これが最高に気持ちよいのです。
いろんな極上布団やマットレスがあるけれど、フローティングタンクのこの瞬間の方がはるかに上です。ひょっとしたら子宮の中で浮かんでいる胎児はこの感覚なのかもしれません。そりゃ、外の世界に出てきたら泣いてしまう気持ちも分かります。
とにかく気持ちよいのです。
そして、身体の心地よさと共にだんだんと思考が内側へ集中しているのが分かりました。寝ているのとは違うと思うけど、「あれ?いま何も考えていなかった?」という「無」の時間が出てきました。PCのディスプレイいっぱいにたくさんウィンドウを開いていたところを、一瞬さっと空白のデスクトップ画面が見えるような、思考の裏に触れるような時間。
そして、頭の中のモヤモヤがスッキリしてきました。なんだろう、脳みそへメンソールをぶっかけたみたいな、頭の中がさーっとする感覚です(体験を言葉にするのは本当に難しい・・・)。
「はっと気づく」という言葉や体験がありますが、あの「はっ」が長い感じです。「はっっっっっっっっ」みたいに、散らばっていた思考のピースがキレイに整ってきました。
そして、気がついたら完全に思考(ココロ)だけの存在になっていました。自分に手や足、目や耳があることをすっかり忘れていました。ちょっとだけ肉体を思い出したので、手を使って水の中で髪をとかしたり、足をガニガニ動かしたりしてみました。エプソムソルトのお湯はちょっと「グリグリ」とした感触があるため、身体を動かしてみるのも気持ちよかったです。
すると!なんと!まさかの!90分終了を知らせる音楽が!!!!!! 早いー!!!!!!!!!
あっという間の90分
90分がこんなに早く過ぎるとは思いませんでした。タンクから出るのが名残惜しいです。ゆっくりと身体を持ち上げると・・・お、重い・・・。重力が重いです。がんばってハッチを開けて、真っ暗闇から再び光の世界へ。
久しぶりに見た自分の身体は、一瞬自分のものか錯覚しそうでした。そうか、俺はこんな腕を持って、こんな腰やお腹や足を持って、こんな世界で生きていたんだ。体のひとつひとつがツヤツヤ新鮮に見えます。
エプソムソルトのお湯が目に入らないように気をつけながら、再びシャワールームへ移動して身体を流します。まだ自分の身体が自分の物のように思えません。手足を動かしてみても、どこか義手・義足のようにウソっぽく感じてしまいます。あ、これでいいんだよね?という、引っ越ししたばかりのときのような違和感です。
人間はそもそも「霊魂」であり、かりそめの場所として肉体を操っているだけみたいな話がありますが、なんともそんな感じです。
だんだん長くなってきたので、タンクから出た後の「ぷはーっ」という時間についてはまた明日お届けします。
フローティングタンクを体験したくなったら
フローティングタンクは「装置」というには大がかりすぎる「施設」が必要なので、日本国内で体験できる場所はあまり多くありません。60分でいくら、90分でいくら、というような代金を支払って利用します。
私が使ったことがあるのは東京・白金高輪にある「フロートセンター」と、岡山が誇るパワースポット「HIKARI CLINIC」にある「COCOON」です。どちらも完全予約制なので、まずはWEBサイトをチェックしてみましょう。
アイソレーションタンクサロン・フロートセンター
※現在は休止中です
フローティングタンクサロンCOCOON
http://hikariclinic.jp/cocoon/
住所:岡山県岡山市北区下石井2丁目1−18 ORIX岡山下石井ビル2F
電話:086-222-5200
次回予告
次回以降のブログでは、タンクを終えた後の感覚やQ&Aなど、より詳しいことを紹介していきます。お楽しみに!