島根県西部には石見神楽(いわみかぐら)という伝統芸能があります。豪華絢爛な衣装に身を包んだ舞い手たちが、日本神話を基にしたストーリーに合わせてテンポよく踊り戦う総合芸術です。
私も島根県西部の出身なので、秋になると山の上にある小さな神社で焚き火をしながら一晩中この神楽を見て育ちました。ほかに出し物はないのかというくらい、祭りのときには神楽が舞われます。
封印されたシャーマニズム
元来、神楽は神職(神主)が行う神事でした。激しい踊りの最後には「神卸し」が行われて「神がかり」となり、神託として神様の言葉を伝えることが続けられてきました。
しかし、文明開化に伴って明治時代には神職が神楽を舞うことや神がかりになることが禁止されました。島根県西部の石見神楽も神主が踊るものから、一般の人が踊るものへと変化しました(そのため、神職でも何でもない私の親や親類が舞台に出て踊ったり楽器を演奏しています)。
抑圧に負けることなく・・・オカミの目を逃れて島根県江津市で密かに受け継がれて来たのが大元神楽です。
大元神楽(おおもとかぐら)とは
大元神楽は土着文化である「大元信仰」に由来し、石見神楽の原型とされています。
土地の神に捧げる舞であるため、島根県江津市以外のほかの土地で舞われることは絶対にありません。
夜通し行われる神楽の最後には神職が神卸しを行い、「神がかり」状態となって神託をいただきます。
大元神楽が行われる時期
島根県江津市の桜江町小田地区と川平町では7年に1度、島根県江津市の桜江町市山地区では6年に1度、大元神楽の神卸しが行われます。もっとも近いところでは江津市桜江町市山地区で2018年11月に行われる予定です。
ここでしか体験できない、日本の土着文化のすごさにぜひ触れてみてください。
大元神楽の特徴まとめ
- 神社の神職によって舞われる
- 神卸しを行い、神がかり状態となり神託をいただく
- 7年に1度、または6年に1度しか行われない
- ほかの土地では絶対に行われない
- 明治時代の禁令を乗り越えて密かに伝えられてきた
- 全国的な知名度が非常に低い
温泉もいっぱいあるし、島根県西部はいいところですよ。一日一便だけ飛んでいる「萩・石見空港」というのもあります。なお、出雲大社は島根県東部なので遠いです。
邑智郡大元神楽伝承保存会
より詳しい情報は「邑智郡大元神楽伝承保存会」のサイトから!
そして島根っこの純情ぶりを知りたいなら「天然コケッコー」を見るべし!
久しぶりに実家へ帰ってみるかー。