何者かになりたかった若者たち – 21世紀の泥沼作戦(寝言を自動手記)

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shibuya

Dream 1

俺の名前は雷田なり太(らいたなりた)。

大学が文学部だったということもあって、学生時代は有名なキュレーションメディアでインターンのWEBライターとして活動してきた。数万PVを叩き出して社内で表彰されたり、検索の上位に登場することもしばしばあった。

まわりの友人は就活をやっていたけど、俺は彼らのように会社に搾取されるような人生は考えられなかったので、最初から一般企業には興味がなかった。スタートアップならいいかなと思ったけど、WEBライターとして腕一本で食っていくことを決めた。

自分でブログもやっているし、SNSでもたくさんの人とつながりがある。ランサーズを使っていくつか仕事をもらったりした。

だけど、最近はちょっとだけ将来に不安がある。業界全体が斜陽ということもあると思う。勉強のためにインフルエンサーの有料メルマガを購読してみたけど、ほとんど送信されてこないのに驚いた。いまはオンラインサロンでの交流が一番刺激的だ。もちろん、ブロガーミーティングのようなミートアップには欠かさず参加し、リアルなつながりを大切にしている。そのおかげか、ある有名ブロガーさんから俺のブログを「将来が期待できる若者」と紹介してもらったこともある。

その一方で、そのブロガーさんから「キミは基本的なライティング能力が低い」という痛烈なダメ出しをくらってしまった。WEBライター養成講座を開催しているので、一度基礎から学ぶべきだと。

いまは投資の時期だと考えているし、それもアリだろう。あと、自然に優しくて洗浄力が高い洗剤も紹介してもらえるそうなので楽しみだ。

Dream 2

私の名前はヒイラ・なり子。

大学が心理学部だったので自然と人のココロに興味を持つようになって、最初は友達の恋愛相談とかだったんだけど、すごく当たる!って口コミで広がっていったの。本格的にカウンセラーとして仕事にできるんじゃないかなって思っていたときに、たまたま訪れた占い屋さんから「キミはヒーラーとしての素質がある」って言われて、確かに過去の男もみんな私に甘えてくるところがあったし、母性が強い自覚もあったから、ヒーラーの道に進むことにしたんだ。

まず最初はその占い師さんの下で修行の日々。「すべての行動が修行」って考えていたから、言われたらどんなことでもやったよ。ちょっと事情があっていまは決別しちゃっているけど、決してあの時代は後悔していない。

私のヒーリングってね、たくさんの手法を取り入れているんだ。ひとつずつ修得していったからお金も時間もかかったけど、私のプロフィール欄はすごいよ。新しい資格はこれからもどんどん学ぼうと思ってる。

もうすぐ、友達の女の子と一緒にヒーリングサロンをオープンする予定なんだ。彼女とはシンクロニシティがたくさんあって、びっくりなんだけど、3000年前に出雲で姉妹だったことを思い出したの。あのときはふたりで抱き合って泣いちゃった。すごいよね。

サロンの準備もシンクロニシティがすごくって、WEBサイト作らせてくださいとか、フリーペーパーでタイアップさせてくださいっていう会社からの連絡がたくさん来るの。いま、ポールシフトと共にすごく導かれている感じがする。SEO対策のコンサルティングっていう人も来たんだけど、どういう意味か分かる? あ、今日はデリヘルのバイトがあるから夜はゴメンね。でも、そっちでも人を癒してあげているから、すべては星の動きのままにって感じ。

Dream 3

俺の名前はパーリー・やり太。

学生時代からクラブへ通い、世界のビッグパーティーにも参加してきたスキルを活かして、自分でもイベントを仕掛けてみることにした。

コンセプトは楽しいこと。水かけ祭りや泡パーティーやウォータースライダーやカラーランやゾンビとの対決やキャンプやBBQや水着や記念撮影スポットまで、とにかく自分が楽しいというものは全部盛り込んだ。あえてジャンル名を付けるとしたら、「俺の世界」だ。

イベントは告知しないと始まらない。スポンサー企業にPRするために、とりあえずFacebookページの「いいね!」をベトナムから1万人分購入した。投稿は毎回5つくらいしか「いいね!」が付かないけど、まぁバレることはないだろう。Twitterは急激にフォロワーが増えるとSPAMと認定されるから、少しずつ購入していく予定だ。

前例のないイベントだから、もちろん写真もないけど、どこかから引用させてもらえば済む話だ。女の子が写っていればだいたい大丈夫だろう。

DJの友達なんていないから、TSUTAYAで借りたDJ MIXのCDを流すことにした。「ダンサーになってみたい」という女の子なら、いろんなところで引っかけられそうな気がする。ブースの横で騒いでもらっていれば、それっぽく見えるんじゃないか。

スタッフに給料なんて出したくないから、インターンとして募集してみよう。もちろん、女の子はビジュアル重視だ。いつだってみんなから憧れる存在でいたいと思う。本当に出会いに感謝、両親や兄弟に感謝だ。

え?台風が来そう?それ止められないの?肉だってもうハナマサで30kg購入しているんだよ?

Dream 4

私の名前はセレブ・キララ。

地元の高校を卒業してから、東京の専門学校へ通い、ちょっと前までは介護系の仕事をやってた。毎日すごく忙しかったし、基本的に年上の女性ばかりの職場だったから、同年代ともっと遊びたいなーと思ってた。

ある日、美術館に出かけてみたんだ。そしたら男の人から声かけられて、おひとりでしたら一緒に見ませんか?って。すごくその人は詳しくて、美術館に来ている人だから、怪しくもなかったし、いっぱいお話をした。

私とそんなに年齢も変わらないのに、IT関連の会社をやってるすごい人だったの。

そのころはまだスタートアップっていう時期で、毎日夜遅くまで仕事をしていたみたい。そして、少しずつ仲良くなって、私を秘書として雇ってくれるってことになったんだ。

もちろん、小さな会社だったから給料はなかったよ。でも、一緒に世界を変えるんだーっていう気持ちがあったし、彼のそばにいたかったし、少しずつ会社の売上も上がっていって、私も彼と一緒にいろんなパーティーへ参加したよ。美人秘書、みたいな感じで!

会社がやっていたのは、いろんな人たちに旅行とかを提供するサービス。毎月3万円っていう会員料がいるんだけど、それを払うといろんな施設が割引で利用できるからお得だと思う。昔は10万円の会員もいたんだって。10万円の会員さんが支えてくれているから、いまから加入する人は3万円でも大丈夫みたい。もっとすごいのが、ほかの友達を誘ったらひとり当たり毎月5,000円もらえるの。友達もできるし、お得に遊べるし、お金ももらえるし、こんなこと考えられるのって天才だと思った。がんばれば仕事しないで遊んで暮らすことだってできるって。

でも、会社が大きくなってきたらだんだん彼の対応が変わってきて。夜も帰ってこないことが多いし、ちょっと怪しいところもあるけど、ここまで一緒に歩んできた道を信じたいんだ。

あ、ちょっと電話だ。え、国税局ってどなたですか?

Wake up

寝言をしゃべったので書き留めてみた。

後日談を追加しました。

先日書いたエントリ「何者かになりたかった若者たち – 21世紀の泥沼作戦」が思わぬ人気でしたので、後日談です。