もはや誰も意識していないかもですが、5月16日はオウム真理教の代表であった麻原彰晃氏が逮捕された日なのです。すでに死刑が確定しているため、逮捕日の5月16日が執行のXデイなのでは・・・と言われ続けて来ました。
とりあえず、今年はまだ執行されていないようです。ふー。
※関連信者の裁判が全部終わってないから執行されないという話もあるけれど、想定外のことが繰り返されてきたのも事実です。
私はオウム真理教が起こした一連の事件を正当化するつもりはありません。だけど、わずかな年月でも強烈に支持を集めた団体であったのは事実です。
そのトップにいた人を、精神障害者として追い込んだ挙げ句に事件について何も語らせることなく死刑にしてよいのか・・・それだとまた同じようなことが繰り返されるんじゃないのか・・・という恐怖感があります。
事件の原因としてよく言われているのが、麻原氏の虚言や妄想を信じた暴走してしまったというものです。教団に降りかかるアレコレをすべてアメリカや日本の攻撃と見なし、仮想敵を次々に作り出した結果、信者は麻原氏の言葉を信じて無差別テロという行動を起こしてしまった、と。誰も止めることができなかった、と。
・・・SNSが普及した、いまの時代にも同じことが起こらないでしょうか?
真実か確認することなくシェアされる情報、国やマスコミを一切信じようとしない(だけどほかの情報は盲目的に信じる)人たち。読ませるより踏ませる、煽るだけ煽った記事のように、とにかく「でっかいこと言った者」が勝ってしまう構造。それこそ、SNSの世界には「信者」と呼ばれる人がたくさんいますよね。
そういった人たちを「情弱なヤツら」と一蹴するのは簡単です。オウムの内部が盛り上がっていた時代も、世間一般はそれほど気にしていませんでした。ガネーシャ帽を被って踊っているヘンな人たちというくらい。テレビのバラエティ番組もキワモノキャラとして麻原氏を登場させていましたし、子供たちは空中浮遊をマネしたものです(あれ?したよね?)。
私は世代的にオウムの人たちよりもちょっと若いので、後期のオウムのウワサしか耳にしていません。
大久保に図書館があって、遊びに行くとずいぶん親切にしてもらえるとか、ヨガを習いたいときはオウム道場ならタダで教えてもらえるとか、某有名DJがオウムの倉庫からありったけのLSDを持ち出してバラまきパーティをやったとか・・・。
ネット界隈ではすでにオウムは「ネタ」扱いです。YouTubeにアップされたオウムの音楽にはバカにするようなコメントが溢れています。
でも、それに夢中になった人たちもいたのです。それこそ人生かけて夢中になった人たちがいたのです。そこから学ばないと、また繰り返されるように思えます。
宗教団体という形態から「チームナントカ」とか「○○ジャパン」みたいな任意団体や学生サークルに姿を変えて、世界を救済するという目的は「自分らしく生きる」とか「カワイイままで生きる」とかの目的に変わって変わらず自尊心をくすぐって、お布施やワークはクラウドファンディングや無償インターンや残業代のつかない長時間労働へ、ビジネス理論ではなく生い立ちや精神論ばかりの社長本、説法会はトークショウ、そこに行けば意識の高い仲間ができて、どこかとつながっている安心感・・・。
わずか22年。まずはそんなことがあったということだけでも。自分の立ち位置や意識を再確認しながら生きていきましょう。
オウムでLSDを合成していた職人さんたちは、いまもどこかで元気にしているのでしょうか・・・。