東京に住んでても案外知られていませんが・・・東京には仕事帰りにぶらりと行ける離島があります。しかも、たくさん!その名は伊豆七島。
目次
伊豆七島(伊豆諸島)とは
東京湾の下側へつらなるように並んでいる島々。伊豆諸島と呼ぶことも。船で行ける有人島として、大島、利島、新島、式根島、神津島、三宅島、御蔵島、八丈島。そして、八丈島経由で行ける青ヶ島があります。
七島と言いつつ、7つじゃなくて9つじゃないかというのは、いろんな歴史があるためです。私はこの9つのうち、6つまで行ったことがあります。八丈島だけすんごい遠いですね。八丈島の先に青ヶ島があります(そして、もっともっと先に小笠原諸島があります)。
伊豆七島の魅力
大自然、温泉、海水浴、釣り、キャンプ、ドライブ、星空・・・伊豆七島にはたくさんの魅力があります。主にアウトドア向きではありますが、式根島の民宿へ小説を書きに来ていた人もいました。都会の喧噪を離れて集中した作業ができるというのはクリエイターにもピッタリですね。
観光しやすいシーズンは春から秋ごろ。八丈島や青ヶ島は冬でも暖かいですが、伊豆大島は冬には雪が積もることもあります。
なお、伊豆七島にはコンビニやユニクロ、マツキヨや吉野屋といったベタなお店はありません。郵便局以外の銀行のATMも存在が怪しいです。しっかりと準備をして行きましょう。
伊豆七島へのアクセス
伊豆七島はいずれも離島なので、車や電車では行けません。船、または飛行機でアクセスします。もっとも手軽なのは「東海汽船」の船を利用する方法です。
【外部サイト】伊豆諸島へ行く船旅・ツアー/東海汽船株式会社
東海汽船の乗船所はJR山手線・浜松町駅から歩いて5分程度の「竹芝桟橋」にあります。横浜在住の方は山下公園の近く「大さん橋」から乗船することも可能です(一部の航路のみ)。
船の種類は大きくふたつ。昼間に就航していて、数時間で島へ到着できる「高速船」と、夜に出発して翌朝到着する「大型客船」があります。それぞれの特徴として・・・
高速船(ジェット船)
- 昼間に就航。数時間で到着できる
- 走り出したら揺れが少ない
- 大型客船に比べると値段は高め
- 天候が悪いときには欠航になりがち
- 大きな荷物は持ち込みに制限がある
- 座席数に制限があり、予約で満員になることも
- 座席はイス席の一種類のみ
- 三宅島、御蔵島、八丈島へは就航していない
大型客船
- 夜に就航。乗船時間は8時間から10時間
- ゆったりと大きく揺れるので船酔い注意
- 座席のランクがいろいろある
- レストランやコインシャワーがある
- 規則がおおらかなため、いろんなお客さんがいる
高速船も快適ですが、「船旅」を楽しむという点から、大型客船をオススメします。
大型客船の魅力
夜に出発すると、東京タワーやお台場の夜景を見ながらレインボーブリッジをくぐります。羽田空港へ発着する飛行機の光、工場地帯のオレンジの明かりを過ぎると、漆黒の闇の世界へ。船の上から眺める星々や月は、ふだんの東京とはまったく違った見え方です。
暖かな季節には、座席へ戻らずに甲板のいたるところで酔狂な宴会が繰り広げられています。甲板にテントを張っている強者も。
原則的に大型客船の座席はすべて指定席扱いですが、満席だったときでも「甲板で寝るんで乗船させてください」という、まさかの「席なし券」という乗船券があります(料金は二等船室と変わりません)。ただし、天候次第では甲板が封鎖されることもあるし、席なし券はあまりオススメできません。
消灯は23時半ごろ。二等船室はマクラ以外の寝具が用意されていないため、100円で毛布を、500円で布団がレンタルできます。毛布を2枚使ってサンドイッチ状態にするとかなり贅沢な寝心地になります。寝袋を持参していれば寝袋で寝ても構いません。
二等船室だとひとり分のスペースがすごく狭いため、あまりハイシーズンには乗りたくないというのが本音です。オフシーズンなら自由にゴロゴロできます。
シャワールームも完備。
アルコール、ソフトドリンク、カップ麺などの自動販売機もあります。
船酔いが心配な人へ
伊豆七島は東京湾の外側にあります。東京から出発した直後は、まだ湾内にいるため船の揺れが小さく「これなら大丈夫♪」なんて思っていても、湾の外側へ出たころからはざぶーんざぶーんと船が揺れてしまいます。乱気流を飛行機で進んでいるときよりマシですが、船酔いを予防するために「アネロンニスキャップ」の服用を強くオススメします。
乗船30分前に飲めば、どんな揺れでも船酔いしません。私は絶対的な信頼を寄せています。「船酔いはしないと思う」という人でも、保険のためにひとつ持って行きましょう。伊豆七島にはマツキヨのようなドラッグストアがないので、事前の準備が大切です。
正直、船酔いした人を介抱するのはなかなか大変なのです。お互いに迷惑をかけないためにも、万全を期しておきましょう。
欠航したらどうなるの?
海の上をどんぶらこと船で行くために、天候が悪いと船は欠航になることがあります。また、欠航(出発しない)ではなく、「出発して目的地の近くまで行ったけど、天候が悪くて港へ着岸することができなかったので通り過ぎます」ということも。
私は2015年11月に三宅島へ行こうとしたところ、天候が悪かったので三宅島をスルーされて八丈島へ到着してしまいました。「八丈島で降りてもいいし、このまま乗りっぱなしで東京へ帰ってもいいよ」というアナウンス(料金は変わりません)。
最悪の場合は、「東京を出発したけどどこの島にも着岸できず、そのまま帰ってくる」ということもあります。こうなると往復で20時間程度、船の中に居続けることになります(その場合は返金されるようです)。
船の予約はキャンセル料がとても低く設定されているので、天気予報が怪しそうなときは勇気を持って行き先を変更するのがオススメです。
伊豆七島の紹介
ひとつずつの島を、簡単ですがご紹介します。
大島(伊豆大島)
東京からもっとも近い島。人口も多く、バスも走って栄えています。温泉施設の数が少なく、値段が高いのが難点。とにかく気軽に行けるのが最大のメリット。日本唯一の砂漠「裏砂漠」は、荒涼としていて異世界感たっぷりです(鳥取砂丘は砂漠ではありません)。うさぎと触れあえるもふもふランドもオススメ。
【関連】伊豆大島は隠れたうさぎ島なのだ
キャンプもできるので、大人数で行くのには最適です。宿に泊まるなら、古民家を改装した「島京梵天(とうきょうぼんてん)」さんがオススメです。
【外部サイト】島京梵天
1日1組限定、自炊の宿ですが、近くにあるお肉屋さんの揚げ物を買って帰ったり、お寿司屋さんへ行ってみたり、なんともゆったりとした時間を過ごすことができます。
夏にはもちろん海水浴が楽しめます!
関連リンク:伊豆大島観光協会
利島
まだ行ったことがありません!キャンプ不可、温泉なし。
関連リンク:利島村ホームページ
新島
サーフィンのメッカとして、超ロングビーチがある新島。いつもサーファーで賑わっています。パルテノン神殿みたいな形の露天風呂あり。珍しい「砂浴」ができる施設もあります。
渋谷の駅前に鎮座する「モヤイ像」は新島の名産「コーガ石」を使った彫刻です。
いろいろとオシャレなお店もできているようです。
関連リンク:新島観光協会
式根島
少人数のキャンパーには強くオススメの島。小さな島なので、徒歩圏内に24時間無料の露天風呂、商店、設備の整ったキャンプ場がすべてそろっています。ビーチも穏やかなので海水浴にも最適。過去、何回行ったか分からないくらいよく行きました。
ワイルドすぎる露天風呂「地鉈温泉」は、そのメリットも強烈です。
露天風呂の熱い場所へ、ネットに入れた玉子を沈めておけばリアルな温泉玉子が作れます。
決して派手なアクティビティはありませんが、きちんとキャンプを楽しみたい、天然の温泉に入ってみたい、自然の中でリフレッシュしたいという人には最適です。
関連リンク:式根島オフィシャルサイト
神津島
伊豆七島で唯一、天然の湧き水が出る島です。湧き水好きとしては見逃せません。そしてこの湧き水、想像以上にじゃんじゃん出ています。キャンプサイトから歩いていける範囲内に湧き水スポットがあるので、じゃんじゃん汲んで帰れます。
常設テントや寝袋を有料でレンタルすることが可能なので、手ブラでキャンプも可能。キャンプ初心者でも楽しめるハズ。
私が訪問したときは台風の影響で温泉施設がお休みだったため、温泉の雰囲気は分かりませんでした。とにかく湧き水です。
関連リンク:神津島観光協会
三宅島
2015年11月に目指してみたものの、天候不良で上陸できませんでした!来年こそ行ってみます!
関連リンク:三宅島観光協会
御蔵島
まだ行っていません!イルカと出会えるダイビングスポットがあるそうです。
関連リンク:御蔵島観光案内所
八丈島
かなり巨大な島です。海岸沿いにはヤシの木も生えていて南国気分です。レンタカーがあれば快適に観光ができます。軽自動車なら24時間借りても5,000円程度と格安です。温泉もたくさん。「みはらしの湯」からは太平洋を一望できます。飲食店やスーパーも多く、キャバクラまであります。
キャンプ場は港から徒歩圏内。無料とは思えないほどキレイで充実した設備があります。夏休みシーズンには大騒ぎになりそうなので、キャンプを楽しむなら少しズラした方がよいかもです。
光るキノコも生えているそうですが、現物には出会ったことがありません。
関連リンク:八丈島観光協会
青ヶ島
絶海の孤島として盛り上げられすぎている感じの島。直行便がないため、八丈島経由で行きます。キャンプ生活だと、飲料水を確保できる場所まで徒歩1時間かかったり、道には看板がまるでなかったり、キャンプ場がトルネードの発生場所だったり、夜中に地滑りの音が聞こえてきたり、耐水テストやってんじゃねーぞ!と叫びたくなるほどの大雨が一晩中降ったり、いろいろハードコアでした。
【関連】青ヶ島に行ってきた
火山性の地熱を利用したサウナ施設や無料で使える地熱釜(蒸気調理器)がとても愉快。玉子やイモ、肉まんなどを地熱釜で調理すると、とにかくおいしく蒸し上がりました。
気候は常夏気分。一年を通じて温暖ですが、台風や偏西風の影響を受けやすいため、ベストシーズンは10月・11月とのこと。
地熱で暖められた地面に寝転がりながら天の川を眺めるのは本当に素晴らしい時間でした。とにかくまた行きたいです。すぐにでも。
関連リンク:青ヶ島村ホームページ
現地での宿泊先
伊豆大島ならがんばって日帰り旅行も可能ですが、ほとんどの場合は一泊以上の旅になります。伊豆七島での宿泊は、ホテルや旅館、ドミトリーやゲストハウス、そして島旅気分の盛り上がる民宿やキャンプといった中から選ぶことができます。
八丈島の港のすぐ近くにある、素泊まり2,500円のドミトリー「ハッチー・ジョーズ・ホステル」。一瞬どこから入ろうか迷いましたが、快適な宿でした。
ほかにも、バリ風なリゾートコテージみたいな「リゾートシーピロス」も素敵でした(外から見ただけですが・・・)。こういうところは女の子と泊まってみたいです。
民宿は大きな一軒家に泊まるようなスタイル。部屋は別々ですが、お風呂や食事は共同の場所を使います。一泊二食付きの宿なら、とても豪華な魚料理が出てくることも。キャンプのできない真冬シーズンは民宿がオススメです。式根島の清水屋さんには何度もお世話になりました。大人数なら貸別荘のアーリーバードも快適です。
キャンプは役場への事前申告制になっていることが多いため、日程が決まったらメールなどで宿泊日と人数、名前や連絡先を伝えておきましょう。無断でのキャンプはなにかトラブルがあったときに大変です。
共通のルール
屋外の露天風呂は男女混浴のものが多く、水着着用が義務づけられています。また、シャンプーや石鹸は露天風呂では使えないので、体を温めるのにとどめておきましょう。温泉は鉄分を多く含んだ茶色いお湯の場所が多く、白色の水着やタオルだと着色の恐れがあります。早めに洗えば落ちるとは思うけど、なるべく避けておきましょう。
島内には東京都市部にあるような銀行のATMはありません。クレジットカードで支払いができるお店も少ないので、現金で持参するか、郵便貯金の口座から引き出せるようにしておきましょう。
島の中で出たゴミはなるべく持ち帰りましょう。ゴミの量を少しでも減らすために、余計なパッケージ(外装の外装など)はなるべく事前にズルムケにさせておく工夫が大切です。
船は天候によって就航しなくなることがあります。特に、乗客が少ないオフシーズンはリスクを負ってまで就航したくないということなのか、あっさりと欠航します。基本的には1日1便のみなので、欠航してしまうと「島へ行けない」または「島から帰ることができない」という状況になります。仕事のスケジュールがカツカツなときには注意が必要です。
アシタバを見つけよう
伊豆七島には栄養満点の野草「アシタバ(明日葉)」が自生しています。畑で栽培されているものもあるけど、空き地を眺めるとそこかしこにたくさん生えています。
私有地へ入り込んで採取するのはダメですが、道沿いの空き地に生えているものであれば欲張りすぎない量でいただいてみましょう。
こちらは青ヶ島のアシタバ。しっかりと緑色になったものではなく、生えてきたばかりの鮮やかな黄緑色の若葉がおいしいです。
アシタバと似た葉もあるけど、アシタバはちぎった部分から黄色い汁が出てくるのが特徴です。茹でてお味噌汁に入れたり、和え物にしたり、ちょっとだけホロ苦さのある印象的な味わいです。島の栄養を分けてもらいましょう!
島旅 モデルプラン
たとえばこんな感じで旅ができます!
金曜の夜:竹芝桟橋へ集合。大型客船にて島へ向かう。船内のシャワーでスッキリして就寝。
土曜の早朝:島へ到着。事前に予約していたレンタカー会社の人がお出迎えしてくれているので、そのまま車に乗車。朝のドライブで島を一周。
土曜のお昼:うまい魚ランチをした後で露天風呂へ。スーパーで買い出しをした後、キャンプサイトへ移動してテント設営。
土曜の夜:満天の星空を眺めながらキャンプメシ。もう一度露天風呂へ入って、就寝。
日曜の早朝:がんばってサンライズを見る。
日曜のお昼:テントを片付けて大型客船へ乗船。レストランでご飯食べて昼寝。
日曜の夜:東京へ帰着。
・・・ふだんの週末で島旅が可能に!!!!!!!! 恐るべし伊豆七島!!!!!!!!
お得に行きたい
島旅でもっとも高いのは船賃です。インターネット予約での割引や、団体割引など割引サービスもいろいろあるけれど、もっとも割引率が高いのは「株主優待券」での割引です。
で、この「株主優待券」は、オフシーズンだと金券ショップで投げ売りされています。私は100円で買ったこともあります。八丈島のような遠くの島へ行くときや、ジェット船のような高額な船に乗るときには、割引サービスを比較してみましょう。
また、東海汽船の株主になるという手もあります(私も持ってます)。1,000株以上持っていれば、半年に1回 株主優待券が10枚もらえます。片道で1枚使うので、ひとりなら5往復分、5人で行くなら1往復分ですね。1,000株なら20万円程度で購入できます。東海汽船は明治時代から続く老舗優良企業なので、変動も少なく、優待券狙いでボケーっと持っておくにはよいと思います。
荷物のアドバイス
船の乗り降りは階段や段差が多く、島は坂道が多いためにスーツケースよりもバックパックでの旅がオススメです。
真夏以外でも太陽光線が強いので日焼け止めは必須。サングラスもあると便利そうです。
海沿いでは強い風が吹くことがあります。ウィンドブレーカーのようなものも用意しておきましょう。
歩きやすい靴、だけど温泉にささっと入って濡れた足で履いても大丈夫な靴ということで、KEENのサンダルが便利でした。
もっとしっかり歩くなら、トレッキングシューズです。ミュールやレザーのサンダルは島向きではありません。
まわりへ迷惑がかかるような大騒ぎは慎むべきだけど、小さなスピーカーがあると豊かな気分になれます。小型スピーカーもずいぶん進化しました・・・。
私が青ヶ島へ行ったときは、ソーラーチャージャーで充電するのも楽しかったです。
なお、スマホの電波はすべてのキャリアでガンガン入ります(反対に電波が入らないと危険なこともあるので)。音楽をストリーミング再生していても、途切れることはありませんでした。
島へ到着する前、船で移動しているときは圏外になってしまうので、飛行機と同じようなものだと思ってたまにはオフラインになってみましょう。