大阪のアートフェス「名村大人遊園地」や、東急ハンズ渋谷店のワークショップで制作した、六角形のテンポラリーハウス「ヘクサユルト」について紹介します。
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ヘクサユルトの語源
六角形を表す「ヘキサゴン」と、モンゴルの遊牧民が使っている移動式住居「ユルト」が合体した言葉です。ユルトは日本だと「ゲル」とか「パオ」と呼ぶ方が馴染みあるかもです。移動しながら生活する遊牧民にピッタリな、簡単に作れて頑丈な住居です。
ヘクサユルトの作り方(基本)
非常に簡単です。一度やり方を覚えると、いろんなシーンで役に立ちますよ。
1. 縦横比が1:2のサイズの板を12枚用意します。ダンボールでも大丈夫。私は大和板紙さんの「ミルダン」を使用しています。両面とも白色でペイント映えしますし、ダンボールとは思えない強度があります
2. 12枚の長方形の板のうち、6枚は対角線上に斜めにカットして三角形にします
3. カットしたら2枚ずつ、三角形の二番目に長い辺を貼り合わせて二等辺三角形を6つ作ります。これで、元々の板の長い辺の長さと、貼り合わせて作った二等辺三角形の短い辺の長さが一緒になります
4. 完成した6つの二等辺三角形それぞれの長辺を貼り合わせると、大きな六角錐になります。これが屋根部分です。6枚を貼り合わせるまでは不安定なので、複数人でやりましょう
5. 残りの6枚の板は、短い辺を一列に貼り合わせます
6. 貼り合わせたら立たせ、六角形にします。これが壁になります
7. 壁の上に屋根を乗せて、接合部分をテープで貼り合わせれば完成です!
最初はグラグラ不安定ですが、六角形になった瞬間にものすごく強固になります。ちょっとやそっとの圧力では崩壊しません。ダンボールであれば貼り合わせるのはガムテープでOK。強度的には、板のサイズが1:2のもの(短い辺が1mなら、長い辺は2m)であると非常に強くなりますが、軽い素材であれば自由なサイズでほぼ問題ありません。
※屋根になる6枚の板の一辺が、壁になる板の一辺の半分であれば製作は可能です。
※屋根と壁との接合部分のサイズが同じであれば、屋根は最初から三角形でも構いません。上記の例は「同じサイズの板を12枚で作る」こと(パーツが入手しやすいこと)を前提として紹介しています。
大切なのは「六角形にすること」です。複数個作って、十二角形や十八角形にしてもカッケーです。
ヘクサユルトの歴史
2003年ごろにイギリス在住のVinay Gupta氏が考案し、オープンソースとして作り方が広められてきました。簡単に作れること、板材を使うとテントより断熱メリットが高いことから、アメリカの砂漠で行われている野外フェス「バーニングマン」で使う人が増え、住居としての快適性が鍛えられていきました。
2010年に起こったハイチの大地震では、一時的な住居としてヘクサユルトが活用され、被災地でも役立つことが証明されました。
日本での広がり
日本での知名度はまだまだ低くく、2014年11月に大阪で作ったときには考案者のVinay Gupta氏より「日本初のヘクサユルトおめでとう!」という言葉をいただきました。本当に日本初かは分かりませんが、考案者の目に留まったのは初だったようです。
【関連】名村大人遊園地、終わりました
高温多湿な日本の環境では住居として活用することが難しそうなため、現在は子供たちの巨大工作遊びとして、教育やアート、娯楽のシーンで拡がりつつあります(拡げつつあります)。
2014年11月に大阪・名村造船所跡地で開催されたアートイベント「名村大人遊園地」と、2015年4月に東京・東急ハンズ渋谷店の店舗内イベントでヘクサユルトを作成するワークショップを開催し、大勢の人たちと一緒にヘクサユルトを作成しました。
工作やアートに自信がない人でも、貼り合わせるだけで簡単に作れます。完成したヘクサユルトは、アーティストにペイントしてもらったり、子供たちが自由にお絵かきできる秘密基地にして遊んでいます。ダンボールなのでカッターナイフで入口や窓を作ることだって簡単です。
ワークショップ提案募集中です
子供向けのワークショップや、ペインティングアーティストのアート用など、さまざまな場所でヘクサユルトの作り方を広めて、楽しんでいきたいと考えています。
ヘクサユルトのアイデアはオープンソースです。私も収益をあげることはしません。材料費や交通費など必要経費をご負担いただければ、可能な限り日本全国でワークショップを行います。
ご連絡はこちらのメールアドレスまで。
拡げていきましょう!